
若者の間ではほぼ頭打ちとなったスマートフォン普及率。10代女子ではスマホ保有率が100%に達したとする調査もあるなど、学生のほとんどがスマートフォンを日々利用しています。
一方、高齢者における保有率も年々上昇しています。株式会社ビデオリサーチの調査によると、シニア層のスマホ保有率は、東京50キロメートル圏内を見ると、「60〜64歳」が3人に2人、「65〜69歳」が2人に1人、「70〜74歳」で3人に1人となっていることが明らかとなりました。
また、スマホ所有者の高齢者のうち、7割は天気やメールなどの利用率がパソコンを上回る一方、「旅行・ホテル情報」「価格比較情報」などではパソコン利用率が上回りました。
本記事ではビデオリサーチの調査結果をもとに、高齢者による最新のスマートフォン利用状況を詳細に見ていきます。
1 東京圏ではスマホを使う高齢者が多い?
ビデオリサーチは、東京50キロメートル圏内の12〜74歳の男女を対象に、調査を行いました。
高齢者におけるスマートフォンの保有率では、「60〜64歳の男女」が3人に2人、「65〜69歳」が2人に1人、「70〜74歳」が3人に1人となりました。
一方、従来の携帯電話である「ガラケー」は、「60〜64歳の男女」で約40%、「65〜69歳」で約50%、「70〜74歳」で約60%に低下しています。
・ 60代以上のスマホ保有率の推移
(参照:ビデオリサーチ)
1-1 サッと見るときはスマホ
次に、デバイス別のネット利用状況を見ると、パソコンよりもスマートフォンでチェックすることが多い内容は、「メッセンジャーアプリ」40%、「天気」70%、「芸能情報」29%、「ニュース」64%、「メール」72%、「レストラングルメ情報」36%、「SNSの閲覧、投稿・書き込み」8%、「スポーツ情報」37%、「クーポン情報」14%となります。
・ デバイス別 ネット利用状況
利用率 | ||
---|---|---|
スマートフォン | パソコン | |
メッセンジャーアプリ | 40% | 16% |
天気 | 70% | 50% |
芸能情報 | 29% | 23% |
ニュース | 64% | 59% |
メール | 72% | 68% |
レストラングルメ情報 | 36% | 32% |
SNSの閲覧 | 10% | 7% |
SNSの投稿・書き込み | 8% | 5 |
スポーツ情報 | 37% | 35% |
クーポン情報 | 14% | 12% |
(ビデオリサーチ資料より作成)
高齢者の場合、SNSの利用は1割以下と低いですが、「天気」「ニュース」「スポーツ情報」など、すぐに知りたい情報はスマートフォンを使用することが多いことが分かりました。
また、ビデオリサーチは、
「スコアとしては小さいものの、キャンペーンや懸賞への応募、メールマガジン、ネットバンキング、オンラインゲーム、オンラインアルバム、ショッピングやファッション情報なども、スマホでの利用がじわりと上がって来ています」
としました。
1-2 じっくり調べたいときはパソコン
一方、スマートフォンよりもパソコンを使用することが多い内容は、「旅行・ホテル情報」50%、「価格比較情報」29%、「チケット予約」22%、「銀行取引(ネットバンキング)」18%、「雑誌や書籍の購入」16%、「動画投稿・共有サイトの視聴」27%、「医療・健康情報」22%、「家電関連」18%、「その他のネットショッピング」22%、「ネット株式取引」15%と続きました。
利用率 | ||
---|---|---|
スマートフォン | パソコン | |
旅行・ホテル情報 | 28% | 50% |
価格比較情報 | 12% | 29% |
チケット予約 | 8% | 22% |
銀行取引(ネットバンキング) | 5% | 18% |
雑誌や書籍の購入 | 5% | 16% |
動画投稿・共有サイトの視聴 | 16% | 27% |
医療・健康情報 | 12% | 22% |
家電関連 | 8% | 18% |
その他のネットショッピング | 12% | 22% |
ネット株式取引 | 5% | 15% |
(ビデオリサーチ資料より作成)
スマートフォンよりもパソコンを使う特徴としては、「旅行・ホテル情報」「価格比較情報」などのように、複数のサービス・商品をじっくり比較して調べたいときに多いことが分かりました。
2 高齢者のネットショッピング、10年間で3倍に
総務省統計局は9月、「敬老の日」にちなんで高齢者の消費行動に関するデータを公表しました。これによると世帯主が65歳以上である2人以上の高齢者世帯について、ネットショッピングを利用した世帯割合は、昨年は14.3%となり、2006年(4.9%)からの10年間で2.9倍となりました。また、2人以上の世帯全体では、昨年は27.8%で、2006年(12.7%)からの10年間で2.2倍となっています
2-1 上がり続ける高齢者のネットショッピング利用
高齢者世帯におけるネットショッピング利用の推移を見ると、2006年以降、ほぼ右肩あがりに上昇しています。
・ ネットショッピング利用の推移
年 | 利用割合 |
---|---|
2006 | 4.9% |
2007 | 7.0% |
2008 | 6.4% |
2009 | 7.5% |
2010 | 8.3% |
2011 | 8.7% |
2012 | 9.1% |
2013 | 10.9% |
2014 | 12.0% |
2015 | 13.6% |
2016 | 14.3% |
(総務省統計局資料より作成)
2-2 「旅行関係費」23.4%で最多
次に、ネットショッピングの項目別支出割合を見ると、贈答品6.0%、自宅用94.0%となりました。
また自宅用の内訳を見ると、「旅行関係費」が23.4%で最も多くなりました。次いで、「食料」16.0%、「家電・家具」9.7%、「教養関係費」8.3%、「衣類・履物」7.7%、「医薬品・健康食品」6.7%、「保険」5.2%、「その他」16.9%となりました。
・項目別支出金額構成比
項目 | 割合 | |
---|---|---|
贈答品 | 6.0% | |
自宅用 | 94.0% | |
旅行関係費 | 23.4% | |
食料 | 16.0% | |
家電・家具 | 9.7% | |
教養関係費 | 8.3% | |
衣類・履物 | 7.7% | |
医薬品・健康食品 | 6.7% | |
保険 | 5.2% | |
その他 | 16.9% |
(総務省統計局資料より作成)
2-3 医薬品をよく買う高齢者世帯
また、高齢者世帯と現役世帯を、ネットショッピングで購入した項目別の構成比で比較すると、「医薬品・健康食品」が1.68倍と最も高く、次いで「贈答品」1.43倍、「保険」1.24倍、「食料」1.13倍、「旅行関係費」1.09倍、「家電・家具」0.93倍、「教養関係費」0.81倍、「衣類・履物」0.67倍、「その他」0.85倍となりました。
・高齢世帯と現役世帯の項目別支出金額構成比比較(倍率)
項目 | 割合 | |
---|---|---|
贈答品 | 1.43倍 | |
自宅用 | 0.98倍 | |
旅行関係費 | 1.09倍 | |
食料 | 1.13倍 | |
家電・家具 | 0.93倍 | |
教養関係費 | 0.81倍 | |
衣類・履物 | 0.67倍 | |
医薬品・健康食品 | 1.68倍 | |
保険 | 1.24倍 | |
その他 | 0.85倍 |
(総務省統計局資料より作成)
※ 教養関係費は、書籍、音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト、デジタルコンテンツ(電子書籍、ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど)およびチケットの合計値。(参照:総務省)