
コミュニティ形成やコミュニケーションインフラとして今や欠かせない存在となったインターネット。さらには銀行取引や法人・個人の重要データまでがウェブに保存されるようになり、インターネットの存在感は日々強くなっています。現代人のほとんどがスマートフォン、iPad、ノートパソコンに没頭し、ネットに接続していない時間のほうが短いとさえ言えます。
このような現代で果たして人はネットなしで暮らしていくことができるのでしょうか。答えはどこの国に住んでいるかによって変わってくるようです。
調査会社のイプソスは8月、一般的に現代人はインターネットなしでは生きていけないこととの調査結果を発表しました。23カ国18,180人を対象に行われた調査では、そのうち3分の2以上が「www.」なしの人生を想像できないと述べたとされ、特にインドでは82%を占めましたそうです。
本記事ではイプソスが発表した調査データをもとに、「インターネットなしでは生きていけない国ランキング」を詳細に見ていきます。
1 ネットなしの人生は考えられない?
世界人口は、インターネットの利用人数と同様の増加率で増えていると言われています。
1-1 時代の寵児となったフェイスブック
世界には40億人のインターネットユーザーが存在するとされており、このうち半数に当たる20億人が、SNSサイトであるフェイスブックの月間アクティブユーザーだとされます。
過去5年間のフェイスブックの凄まじい成長は、主に開発途上国の起業家、パートナー、開発者、および小規模企業が成長するためのプラットフォームとしてフェイスブックを使用していたことで成し遂げられました。アフリカだけでも2015年から月間アクティブユーザー数で42%の成長を記録しました
1-2 ネットなしでは生きていけない国ランキング
これまで以上にインターネット上で多くの時間を費やすようになった現代人。調査会社イプソスが23カ国から18,180人を対象に、インターネットと生活に関する調査を行ったところ、世界の3分の2以上がインターネットなしの人生を想像することができないと発表しました。
最もネットに頼っているとされたのはインドで82%が「ネットなしは考えられない」と回答しました。次いで、イギリス(78%)、中国(77%)、ドイツ(73%)、アメリカ(73%)、ロシア(66%)、スペイン(65%)、フランス(64%)、イタリア(62%)、日本(62%)となりました。
・ ネットなしでは生きていけない国ランキング
順位 | 国・地域 | 割合 |
---|---|---|
1 | インド | 82% |
2 | イギリス | 78% |
3 | 中国 | 77% |
4 | ドイツ | 73% |
5 | アメリカ | 73% |
6 | ロシア | 66% |
7 | スペイン | 65% |
8 | フランス | 64% |
9 | イタリア | 62% |
10 | 日本 | 62% |
(イプソス発表資料より作成)
(出展:statista)
人口の多い国であるインド、中国、アメリカ、ブラジルに比べてインターネット利用者数が少ないにも関わらず、イギリスは2番目(78%)に位置しました。
また、最も人口が多い中国は第3位となり、回答者の73%がインターネットが生活の中で最も重要であると答えました。
2 ミレニアム世代が牽引するインド
ミレアニアム世代とさらに若い世代が人口の大半を占めるインドでは、インターネット接続速度がアジア圏で最も遅いにもかかわらず、インターネット利用者数が2013年以来2倍に増加するなど、ネット大国として知られています。
2-1 世界最速で普及
インドにおけるインターネットは、テクノロジーおよびライフサイエンス業界で活動するベンチャーキャピタル会社のKleiner Perkinsの報告書によると、世界の他の国よりも速く普及。世界の平均インターネットユーザー増加率は10%ですが、インドは28%となります。また、同国のインターネットユーザーは、4%(2009年)から、2016年末には27%に増加しました
・ インドのネット普及率とユーザー数
年 | ネットユーザー数 | ネット普及率 |
---|---|---|
2009 | 54万人 | 4% |
2010 | 66万人 | 5% |
2011 | 84万人 | 7% |
2012 | 111万人 | 9% |
2013 | 149万人 | 12% |
2014 | 198万人 | 15% |
2015 | 277万人 | 22% |
2016 | 355万人 | 27% |
(Kleiner Perkinsより作成)
(出展:HuffPost India)
2-2 低速でも問題なし!
現在、約4億6千2百万人のインターネットユーザーを抱えているインド。ネット接続速度が遅いにも関わらず、ネット利用人口が急増した背景には低速データ市場向けに特別に設計されたアプリ(軽量版アプリ)の存在が大きく影響しているとされます。
例として、マイクロソフトの「Skype Lite(スカイプ・ライト)」と「LinkedIn Lite(リンクドイン・ライト)」、フェイスブックの「Facebook Lite(フェイスブック・ライト)」、グーグルの「Accelerated Mobile Pages(AMP)」などがあり、低速でもスマートフォンの読み込みがスムーズに進むアプリです。
2-3 インドと中国がネット拡大に貢献
世界経済フォーラムの報告書によると、中国とインドは、アジアのシェアの大部分(世界のインターネットユーザーの49.8%)を占め、世界のネットユーザーのほぼ半数が2カ国に住んでいることになります。
インド単体では、35億7800万人の世界のインターネットユーザー数に対して、12.9%に当たる4億6,200万人のユーザーを占めています。
・ 地域別ネットユーザー構成比
地域 | 比率 |
---|---|
アジア | 49.8 |
ヨーロッパ | 17.0 |
中南米 | 10.2 |
中東 | 3.8 |
北アメリカ | 8.3 |
オセアニア・オーストラリア | 0.7 |
アフリカ | 10.1 |
(世界経済フォーラムより)
2-4 今後のネットユーザー人口は?
今日、人がなぜインターネットに夢中になったのかの理由について、1974年、ドイツの政治学者E.ノエル=ノイマンは、個人がより大きな社会集団から「孤立する恐れ」や「孤立を恐れて自分の意見を控える」とする「沈黙の螺旋」が参考になると言われています
現在、インドは世界で2番目に多いインターネットユーザーを抱えていますが、2021年には635.8万人のインターネットユーザーに増加すると推測されています。
アジアの人口は世界のほぼ半分を占めており、インドの人口増加や中国の人口増加に関連している可能性もあります。ピューリサーチセンター(Pew Research Center)の報告書は、新しい世代の労働人口のほとんどは、インターネットを使用した後に生産性が向上すると述べています。
年々、経済的価値を高めるインターネット。しかし、ネット依存やスマホ依存など日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な使い方が求められます。