
複数の韓国メディアは、8月、サムスン電子が2017年第2四半期の北米におけるスマートフォン市場で、アップルを抜いて1年ぶりに首位に返り咲いたと一斉に報じました。
また、LGエレクトロニクスと合わせると韓国勢が3年ぶりに北米市場の半分以上を占めたと伝えられました。
市場調査会社のストラテジー・アナリティクスによれば、今年4月〜6月の北米携帯電話市場でサムスン電子は1400万台を売り上げ、33.3%のシェアを占めました。
このほか、サムスン電子は世界携帯電話市場でも市場1位を維持するなど、昨年起きたバッテリー発火事故による悪いイメージを完全に払拭することに成功したと言われます。
勢いを完全に取り戻したサムスン電子の攻勢は止みそうにありません。
1 北米市場の3分の1を占める
サムスンが今年3月末に発表した最新スマートフォン「Galaxy S8(ギャラクシー・エス・エイト)」の販売が好調です。
(出展:Samsung)
1-1 サムスン、3年ぶりに30%超え
ストラテジー・アナリティクス(SA)の調査によれば、2017年第2四半期(4月〜6月)の北米スマホ市場で、サムスンは前年同期比3.6ポイント増加(前四半期では8.4ポイント上昇)となる33.3%のシェアを獲得し、アップルを抜いて首位に躍り出ました。同社が北米市場で30%を超えるのは2014年第2四半期以降となる約3年ぶりとなります。
また、首位になったのは、2016年第2四半期以降となる1年ぶり。このほか、LGエレクトロニクスは前四半期比で3.1ポイント減少するも、720万台を販売し、シェア17.1%となって3位となりました。
サムスンとLGの第2四半期を合わせると、北米携帯電話市場でのシェアは50.4%に達します。韓国勢の北米市場四半期の携帯電話シェアが半分を超えたのは2013年第2四半期、2014年第2四半期に続き、今期で3度目となりました。
1-2 アップルは24%で首位陥落
一方、アップルは1010万台販売するも前四半期比で8.7ポイント減少し、シェアは24%で2位となりました。
韓国メディアによれば、サムスンが上半期にギャラクシーS8シリーズなど最新のスマートフォン製品を発売し売り上げを伸ばしたのに比べて、アップルは下半期に新製品「iPhone8(アイフォーン・エイト)」の発表を控えており、現行機の需要が落ちたと分析されました。
このほか、市場のシェア4位は中国ZTE(11.5%)、5位モトローラ(4.8%)が続きました。
・ 北米スマートフォン市場トップ5
順位 | ベンダー | シェア率 |
---|---|---|
1 | サムスン電子 | 33.3% |
2 | アップル | 24.0% |
3 | LGエレクトロニクス | 17.1% |
4 | ZTE | 11.5% |
5 | モトローラ | 4.8% |
(ストラテジー・アナリティクス公表資料より作成)
韓国聯合ニュースによれば、「下半期はサムスンのギャラクシーノート8、LGのV30、Appleのアイフォーン8など各社のプレミアムスマートフォン発売が予定されており、北米市場ではさらに競争が激しくなることが予想される」と指摘されました。
2 サムスン、世界市場でも首位を維持
ストラテジー・アナリティクスの調査によると、2017年第2四半期の世界のスマートフォン出荷台数は、6%増となる3億6000万台に達しました。
2-1 単独で8000万台近い販売数
サムスンはスマートフォン市場シェアで22%を占めて昨年に引き続き首位を維持しました。ついで2位アップルは11%を獲得。3位中国シャオミは1年で販売台数を58%急増させ、トップ5に再びランク入りしました。
販売台数別に見るとサムスン7950万台、アップル4100万台、ファーウェイ3840万台、オッポ2950万台、シャオミ2320万台となります。
・ 世界スマートフォン市場 販売台数ランキング
順位 | ベンダー | 2016年Q2 | 2017年Q2 |
---|---|---|---|
1 | サムスン電子 | 7760万台 | 7950万台 |
2 | アップル | 4040万台 | 4100万台 |
3 | ファーウェイ | 3200万台 | 3840万台 |
4 | オッポ | 1800万台 | 2950万台 |
5 | シャオミ | 1470万台 | 2320万台 |
(ストラテジー・アナリティクス公表資料より作成)
(出展:Gadgets)
2-2 アップルに2倍近い差でシェア率でも1位
世界スマートフォン市場におけるシェア率では、サムスンが前年同期比より0.6ポイント伸ばして22.1%となり首位を維持しました。2位アップルは0.4ポイント落として11.4%、3位ファーウェイは1.3ポイント伸ばして10.7%、4位オッポ2.9ポイント伸ばして8.2%、5位シャオミは2.1%伸ばして6.4%と続きました。
・ 世界スマートフォン市場シェア率ランキング
順位 | ベンダー | 2016年Q2 | 2017年Q2 |
---|---|---|---|
1 | サムスン電子 | 22.7% | 22.1% |
2 | アップル | 11.8% | 11.4% |
3 | ファーウェイ | 9.4% | 10.7% |
4 | オッポ | 5.3% | 8.2% |
5 | シャオミ | 4.3% | 6.4% |
(ストラテジー・アナリティクス公表資料より作成)
(出展:Gadgets)
ストラテジー・アナリティクスのリンダ・スーディレクターは、スマートフォン市場について
「世界のスマートフォンの出荷台数は、2016年第2四半期の3億4150万台から2017年第2四半期には3億640万台に6%の伸びを見せている。今年の市場は、アフリカのような新興市場での初めてのバイヤーや、西ヨーロッパなどの先進地域でのフラグシップアンドロイドモデルへのアップグレードによって、着実な1桁成長に落ち着いた」
と述べています。
3 アップルの地位危うし!猛追する中国メーカーたち
市場シェア2位アップルと0.7ポイント差まで縮めるファーウェイは、1987年に中国・深センに設立されたスマートフォンメーカーで、通信事業者向けネットワーク事業や法人向けICTソリューション事業などを展開する中国の大企業として知られます。
3-1 市場1位を狙うファーウェイ
ファーウェイは、昨年サムスンが引き起こしたバッテリー発火事故を契機に、販売台数を大きく伸ばしていました。ストラテジー・アナリティクスのウーディー・オーディレクターは、
「Huaweiは2017年第2四半期に、世界のスマートフォン市場で11%のシェアを維持し、3年ぶりの高値を更新した。ファーウェイは現在アップルに急接近しており、Appleは今後数年は神経質になるだろう。ファーウェイはP10やMate 9などのアンドロイドモデルでアジア、ヨーロッパ、アフリカで人気を獲得している」
と述べます。
このほか、新興企業オッポは2011年にスマートフォン市場に参入したばかりですが、昨年7月はファーウェイを抑えて売り上げトップに躍り出るなど、スマートフォンベンダーとして今最も注目される中国企業の一つです。
3-2 シャオミ、ウェアラブル市場でアップルを抜いて1位に
シャオミは、今年第2四半期の世界ウェアラブル市場でアップルとピットビットを抜いてシェア1位となりました。
ストラテジー・アナリティクスによれば、2017年第2四半期ウェアラブル市場で、シャオミは370万台の製品を出荷してシェア17.1%で1位を獲得しました。前年同期に比べ出荷量は23%増え、シェアを2.1ポイント伸ばしました。
ウェアラブル機器は、内蔵心拍センサーを搭載したフィットネストラッカーやスマートウォッチなど体に身に着けて、ユーザーの身体状態をチェックする製品です。中国メディアによれば、心拍・歩数モニターと振動通知機能などを備えた同社製品はシンプルなデザインに加えて低価格だったため、世界的に人気を得ることができました。
(出展: Everyeye Tech)
シャオミに続いて2位ピットビット(同15.7%)、3位アップル(同13.0%)と続きました。
ピットビットはこれまでウェアラブル市場で占有率1位を維持してきましたが、今年第1四半期にアップル(15.9%)とシャオミ(15.5%)に押されて12.3%のシェアで3位まで落ちました。第2四半期にはシェアを少し伸ばすも、シャオミの成長に後塵を拝し、2位にとどまりました。
アップルのシェアは前年同期(9.0%)に比べ4ポイント上昇したものの、前期比では2.9ポイント下落していました。第2四半期のグローバルウェアラブル機器の出荷台数は、前年同期比8%増の2160万台を記録。米国のプレミアムスマートウォッチ需要とシャオミの低価格フィットネスバンド需要の拡大が後押した形となりました。
スマートフォン市場で日増しに存在感を高める韓国企業。果たしてアップルは母国でシェアトップを奪還することはできるのか。今後の両雄の動向に注目が集まります。