
ついに100万人を割った出生数。厚労省が6月発表した人口動態統計によると、昨年生まれた子どもの数は97万6979人で、過去最少を記録しました。合計特殊出生率も1.44で前年より0.01ポイントの低下しました。
婚姻件数も年々低下しており、2015年は過去最低となる63万5136組、婚姻率は5.1となりました。
一方、未婚化は進行し、2015年における男性23.4%、女性14.1%となりました。このまま進行すると2035年には男性29.0%、女性19.2%に達すると予測されています。
さらに、止まらない少子化を裏付けるような調査結果が明治安田生命福祉研究所より明らかとなりました。
一般的に結婚適齢期とされる25〜34歳の未婚の男女を対象とした調査で、「結婚を意識した(させられた)交際経験はない」と答えた割合が、男性6割、女性4割だったことが判明。
結婚に対して積極的でない昨今の男女。少子化問題が解決する糸口が見出せません。
1 結婚を意識した交際をしないアラサー男女
調査は25〜34歳の男女10304人を対象に行われ、結婚を意識した(または「させられた」)交際経験があるかを尋ねたところ、「結婚を意識した(させられた)交際経験はない」と回答したのが、男性で約6割(20代後半 63.7%・30代前半61.7%)、女性で約4割(20代後半38.6%・30代前半40.3%)となりました。
1-1 女性は30代前半で20代より増える
結婚を意識した交際経験の有無では、男性20代後半で、「結婚を意識した(させられた)交際経験があって継続中」20.6%、「結婚を意識した(させられた)交際経験があったが、交際は終了している」15.7%、「結婚を意識した(させられた)交際経験はない」63.7%となります。
一方、女性20代後半では、「結婚を意識した(させられた)交際経験があって継続中」37.0%、「結婚を意識した(させられた)交際経験があったが、交際は終了している」24.4%、「結婚を意識した(させられた)交際経験はない」38.6%となります。
男性20代 後半 |
男性30代 前半 |
女性20代 後半 |
女性30代 前半 |
|
結婚を意識した(させられた)交際経験があって継続中 | 20.6% | 15.0% | 37.0% | 26.2% |
結婚を意識した(させられた)交際経験があったが、交際は終了している | 15.7% | 23.3% | 24.4% | 33.5% |
結婚を意識した(させられた)交際経験はない | 63.7% | 61.7% | 38.6% | 40.3% |
(明治安田生命福祉研究所公表資料より作成)
1-2 結婚を意識しても断った理由「本当にこの人でいいのか」
「結婚を意識した交際をしていたが自分から断った理由」を尋ねると、女性では、「本当に結婚相手としてこの人で良いのか迷ったから」「結婚相手としても交際相手としてもそもそも相性が合わないと思った」がともに23.9%で最も多くなりました。
次いで「相手は結婚を望んでいたが、自分は望んでいなかった」13.5%、「自分が思う結婚条件を満たしていなかった」11.7%、「自分は結婚を望んだが、相手が結婚を望まなかった」9.1%、「他にもっといい人が現れると思ったから」7.8%、「他に好きな人ができた」5.2%、「結婚や交際よりも仕事や趣味等の時間を優先したかった」4.8%となりました。
一方、男性でも最も多かったのは「相手は結婚を望んでいたが、自分は望んでいなかった」「婚相手としても交際相手としてもそもそも相性が合わないと思った」で、ともに18.9%でした。
・ 自分から交際を断った理由
男性 | 女性 | |
---|---|---|
自分は結婚を望んだが、相手が結婚を望まなかった | 11.3% | 9.1% |
自分が思う結婚条件を満たしていなかった | 13.2% | 11.7% |
結婚相手としても交際相手としてもそもそも相性が合わないと思った | 18.9% | 23.9% |
結婚や交際よりも仕事や趣味等の時間を優先したかった | 14.2% | 4.8% |
相手は結婚を望んでいたが、自分は望んでいなかった | 18.9% | 13.5% |
他に好きな人ができた | 7.5% | 5.2% |
本当に結婚相手としてこの人で良いのか迷ったから | 14.2% | 23.9% |
他にもっといい人が現れると思ったから | 1.9% | 7.8% |
(明治安田生命福祉研究所公表資料より作成)
2 結婚と年収 〜理想と現実〜
結婚相手にいくらの年収を求めるかは永遠のテーマですが、調査では25〜34歳のうち、高年収の女性ほど結婚相手に求める年収額も高いことが分かりました。
2-1 女性は自身の高いほど相手に求める年収額も高い
結婚相手に求める最低年収額を尋ねた結果、自身の年収が高いほど相手に希望する年収額も高くなる傾向がありました。
例えば、本人の年収が「200万円以上300万円未満」の場合、相手に800万円以上の年収額を希望する割合はわずか2.1%ですが、自身が「500万円以上」の場合は18.8%にまで上昇します。
結婚相手が「300万円未満」で良しとする女性は、自身の年収が「100万円以上200万円未満」では37.2%ですが、「500万円以上」では0%となりました。
・ 結婚相手に希望する年収額(横)と自身の年収額(縦)
300未満 | 300〜400 | 400〜500 | 500〜600 | 600〜800 | 800以上 | 問わない | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
100未満 | 10.0% | 27.7% | 23.2% | 9.1% | 7.3% | 1.8% | 20.9% |
100〜200 | 8.4% | 37.2% | 23.2% | 11.1% | 5.6% | 3.1% | 11.5% |
200〜300 | 6.4% | 31.1% | 30.1% | 16.5% | 7.8% | 2.1% | 6.1% |
300〜400 | 0.9% | 27.3% | 35.2% | 18.8% | 10.6% | 2.7% | 4.5% |
400〜500 | 2.2% | 9.4% | 34.8% | 27.5% | 18.1% | 6.5% | 1.4% |
500以上 | 0.0% | 2.5% | 15.0% | 32.5% | 26.3% | 18.8% | 5.0% |
(明治安田生命福祉研究所公表資料より作成)
2-2 3人に1人、「年収800万未満の男性とは結婚しない」
女性に「求める最低年収額を下回る男性との結婚についてどう思うか」を調査したところ、「相手に800万円以上の年収を希望する」人の34.9%が、結婚も交際も考えていないことが分かりました。
300未満 | 300〜400 | 400〜500 | 500〜600 | 600〜800 | 800以上 | |
そのような人とは交際もしない | 7.0% | 8.0% | 3.6% | 3.7% | 5.5% | 14.3% |
そのような人と交際はしても結婚はしない | 7.0% | 11.0% | 10.0% | 11.0% | 10.4% | 20.6% |
人間的な魅力が十分にあれば、そのような人とでも結婚する | 68.6% | 72.3% | 80.1% | 81.3% | 81.0% | 61.9% |
結婚相手を選ぶ場合に相手の収入は意識しない | 17.4% | 8.7% | 6.3% | 4.0% | 3.1% | 3.2% |
3 男性の8割が共働きを希望
25〜34歳の男性に対して共働きに関する意識調査を行ったところ、既婚男性の85%、未婚男性の79%が「共働きを期待する」と回答しました。
3-1 既婚男性も「共働きしてほしい」
現在の本人の年収が400万円未満で、「共働きを期待する」と回答した既婚男性の割合は85%、400万円以上では74.6%となりました。
また、年収400万円未満の未婚男性では76.4%が「共働きを期待」し、400万円以上では79.0%となります。
既婚 | 400万円未満 | 85.0% |
---|---|---|
400万円以上 | 74.6% | |
未婚 | 400万円未満 | 76.4% |
400万円以上 | 79.0% |
(明治安田生命福祉研究所公表資料より作成)
3-2 どうすれば結婚する若者が増えるのか
男性の就労形態別有配偶率をみると、「正社員」では25~29歳で31.7%、30~34歳で57.8%であり、「非典型雇用」では25~29歳で13.0%、30~34歳で23.3%であり、「正社員」の半分以下となります(参照:人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」)。
一方、「非典型雇用のうちパート・アルバイト」では25~29歳で7.4%、30~34歳で13.6%であり、「正社員」の4分の1以下となっているなど、正規雇用か非正規雇用かの違いにより配偶者のいる割合が大きく異なります。
未婚者(18~34歳)のうち「いずれ結婚するつもり」とする男性が85.7%、女性89.3%であることを考慮すると、結婚に対する意欲が一概に低下しているとも言えません。
結婚する男女を増やすためにも、政府には阻害する社会的要因を解消することが求められます。