目次
【STEP1】基本事項の決定
合同会社の設立にあたりまず行うべきことは、各種基本事項の策定と決定です。具体的には、事業の目的、商号(社名)、社員、本店所在地、資本金、決算日、公告の方法などが必要な項目になります。
この基本事項の決定は、設立手続きの中で最も重要な部分になりますので、慎重に行われることをおすすめ します。
事業の目的
会社が行う事業の内容を表すものです。具体的には、今すぐにはじめる事 業、それから今後はじめるかもしれないと思われる事業も記載しておくと 良いでしょう。事業目的を変更する際は再度登記が必要となり、そのため の手間と費用がかかってしまうためです。
商号(社名)
基本的には自分の好きな商号を付けることができますが、全く自由に決め られるというわけではなく、いくつかのルールがあります。例えば、「合 同会社」という文字を必ず入れること、「銀行」「信託」や有名企業の名 称など誤解をまねく可能性のある文字は入れてはいけないことなどが代表 的なルールです。
また使用できる文字は、漢字・ひらがな・カタカナ・ロ ーマ字・アラビア数字・符号の一部(「&」「’」「-」「.」「・」)のみ と決められています。
社員
合同会社の社員とは、給与を支払って雇う従業員のことではなく、出資者のことを指します。同時に、社員は経営にも携わることになります。また、代表権を持つ代表社員や業務執行社員を定めることもできます。
本店所在地
会社本社の住所のことです。
資本金
設立自体は1円で可能ですが、実際に営業を開始する際には1円では何もできません。あらかじめどのくらいのお金が必要になるのかを予測し、資本金の決定を行いましょう。
決算日
決算日は自由に定めて良いことになっています。しかしながら一般的には設立から一番遠い日、つまり1年後に設定することが多いようです。
その 理由としては、決算の作業は大変なのでなるべく後に持っていきたいこ と、また、合同会社は第1期と第2期の消費税を免税できるという決まりがあるため、期末=決算までの期間を多くとったほうが得になるという事 情があるからです。
公告の方法
公告とは、合併や資本金の減少などを行った際にその事実を広く告知することを言います。つまり、その公告の方法を取り決めておくという意味です。
またこの時点で、始めようとしている事業に許認可が必要かどうかも確認して おきましょう。
万が一許認可なしにそのまま営業をしていた場合、罰金が課せ られたり、営業ができなくなったりする恐れがあります。
【STEP2】商号の調査・印鑑の作成
商号の調査を管轄法務局にて行います。まず、同一所在地に類似の商号が存在 しないかを確認します。またできれば同時に、同一市区町村内で類似の商号 ・事業目的の会社が存在していないかも確認したほうが良いでしょう。その理 由は、無用なトラブルを避けるためです。
会社法施行前には、同一市区町村内に類似の商号があると登記できないという 規制がありましたが、これは会社法施行によって緩和され、登記そのものは可 能になりました。しかし実際にこの通り登記した場合、先に登記している会社 にとっても、後から登記をした会社にとっても、多くの場合経営上不利益にな ることは明らかです。
後から面倒なトラブルに巻き込まれるよりは、あらかじめ対策をしておくほうが賢明と言えます。また、商号が確定した時点で、会社代表印などは作成しておきましょう。
【STEP3】定款の作成
定款には、必ず記載しなければならない事項があります。これを絶対的記載事 項と言い、次のものが該当します。
・事業の目的
・商号(会社名)
・本店の所在地
・社員の名前と住所
・社員全員が有限責任である旨
・各出資者の出資金額とその目的
また、義務ではありませんが、定めておいたほうが良い事項には次のようなものがあります。
・業務執行社員の定め
・代表社員の定め
・損益分配の比率の決め方
・議決のやり方
・合同会社の存続期間の制定や制限
・解散の理由 など
【STEP4】出資金の払い込み
出資者それぞれの出資金額を決定させ、出資金を金融機関の口座に払い込みま す。この際、出資金が払い込みされた旨を証明するため、通帳のコピーなどをとっておく必要があります。
また、出資者各々の個人名が明記されるよう振り込みにて入金を行うこと、定款作成日以降に入金を行うことなどに注意しましょう。
【STEP5】登記の申請
登記の申請は管轄法務局で行います。次のような必要な書類を揃えて持参しましょう。尚、書類を提出した日が設立日となります。・登記申請書 ・定款(登記申請書用)・代表社員及び資本金決定書・代表社員の就任承諾書・代表社員の印鑑証明書 ・払い込みがあったことを証明する書面および通帳のコピー・収入印紙(登録免許税)※条件に応じて他にも必要になる書類があります。
【STEP6】役所への届け出
最後に、税務関係・社会保険関係などの各役所等にて行うべき手続きをします。手続きに必要な登記簿謄本や印鑑証明書は、あらかじめ法務局で取得しておきましょう。
・法人設立届出書/税務署
・青色申告の承認申請書/税務署
・法人設立届出書/都道府県税事務所
・市区町村役場・新規適用届/日本年金機構
・被保険者資格取得書/日本年金機構
・その他、雇用保険や労働保険など必要に応じて以上で合同会社の設立は完了です。