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業務契約上必要な事

事業活動の継続には、業務契約を締結することが不可欠です。業務契約の締結は、将来の事業の明暗を分ける重要事項です。そこでこのページでは、契約締結の際に必要な基本的注意点を挙げます。

 

目次

  1. 契約の基礎知識
  2. 何故契約書を作成するのか
  3. 契約上の注意点
  4. 業務契約書の作成ポイント
  5. 契約書のひな型利用について
  6. 契約締結時には、リスク管理の観点を

 

契約の基礎知識

契約とは、契約当事者相互の権利義務を対等な立場で決定する合意のことで、法定的拘束力を持つ相互間の約束です。契約は、「契約自由の原則」から、契約内容は当事者の合意によって原則として如何なる内容であっても成立しますが、公序良俗に反する契約や強行法規に反する契約は無効です。例えば、相手の弱みにつけ込んだり、相手の無知を利用した契約も無効になります。

 
契約と言えば、契約書がまず頭に浮かぶかもしれませんが、契約は、当事者間の意思の合致で成立し、契約書の作成は、契約の成立要件ではありません。契約上の合意とは、例えば、A商品を100円で買いたい者(申込み)と100円で売る者(承諾)があれば、お互いの意思に錯誤がなければ成立します。電話でのやり取りであっても契約は成立します。

 

何故契約書を作成するのか

契約の基本事項を規定する民法では、契約に関して当事者の申込みと承諾の意思の合致で成立するので、原則として、契約書は契約の成立要件ではありません(ただ保証契約等一部の契約は契約書の作成が成立要件になっている)。

 
それでは何故、契約書を作成するのでしょうか。その理由は、(1)契約書を作成することで、契約内容を証明する重要な証拠となることです。ビジネスの世界では、契約を巡るトラブルが後を断ちません。代金の支払う方法やその金額、業務のやり方、商品・サービスの引き渡し方法やその仕様等、契約内容は非常に多岐にわたります。そこで、契約書を交わしておけば、契約の具体的な内容を明確かつ簡単に証明できます。また、(2)企業従業員は、転職することもありますが、この契約を担当した者が職を離れたり、担当を変わっても、契約書があればその内容に沿って、後任者は契約業務を行っていけば、適切な対応を行う事ができます。

 
更に、(3)契約書を作成する際には、契約の当事者間で入念なチェックを行う事になるので、契約に係わる失敗を未然に防ぐことができます。

 

契約上の注意点

契約は、契約当事者間が対等の立場で法的拘束力のある合意をなすことなので、契約書がひとたび作成されれば、取引業務等は、その契約書の内容に従って進行します。将来当事者間で紛争が起こっても、原則として、違法、公序良俗に反しない限り、契約書の内容通りに処理されます。

 
契約上の注意点
例えば、スカイマーク社とエアバス社の航空機売買契約解除が盛んに報道されていますが、スカイマークに対するエアバスA380の購入契約解除の違約金は、約700億円と言われています。このような巨大な取引はともかくとしても、契約書に記載した契約内容の履行は契約自由の原則から非常に大きな拘束力を持つので、契約書作成する際は、取引・業務内容を細部まで十分検討することが不可欠です。安易に契約を締結すれば、会社の経営を圧迫する重大な要因になってしまいます。

 
契約書は、個人で、書籍やインターネット上の契約書のひな型を参考に作成することも可能ですが、法律に係わる事項なので、法律の条文を正しく解することができ、また、判例等に精通した専門家と相談の上締結することがお薦めです。

 
特に、書類作成の専門家で、会社法務に精通し契約書の作成経験が十分にある行政書士をビジネスパートナーとすれば、契約書に関する多くのリスクを未然に防ぐことができます。

 

業務契約書の作成ポイント

業務契約を締結際には、基本的な事項を抑えていることが必要です。ここでは、契約締結上不可欠な事項を列挙したいと思います

 

1.契約内容の記載

業務契約書には、当該業務契約の内容並びにその必要事項を具体的に漏れなく記載する必要があります。契約書には表題や業務契約締結の当事者の名称はもちろん、例えば、売買契約であれば、売買の目的物の特定、数量、代金、目的物の引き渡し方法と場所、代金支払いの方法・支払い方法等を具体的に契約書に記載します。契約書は、将来に争い種を残さず、また、争いになっても、契約上の重要な証拠として機能するので、必要事項の記載は念入りに行ってください。

 

2.必要事項を明確に記述する

業務契約書においても、契約書の必要事項の重要部分である契約の内容を明確に記載する必要があります。例えば、業務契約書においては、どんなサービス・物を提供するのか、代金はいつ、誰が、どのような方法で支払うのか、また、業務を行うにあたって発生した費用は当事者のどちらが負担するのか、といった事項を業務契約書に明確に記載することが必要です。

 

3.法令や公序良俗に反しないか

業務契約についても、契約の原則である「契約自由の原則」の法理が妥当しますが、契約条項に、法律や公序良俗に反することが含まれている場合は、契約が無効になります。因みに、契約の効力が失われる作用に、「取り消し」と「無効」がありますが、取り消しは、取り消し権者が取り消すまでは有効で、取り消し後、遡って契約が失効することを言い、無効は、取り消す行為を行わなくても、最初から契約の効力が発生しないことを言います。

 

4.契約当事者相互のメリットを考慮する

契約当事者相互のメリットを考慮する
契約当事者間のお互いの立場やメリットを考慮する業務契約書を締結する必要があります。業務契約書も、当該契約により、互いに利益になることを目的として締結されるので、契約の相手側の求めに十分配慮することが必要です。また、契約書のその条項だけを見れば、自分にメリットはなくても、他の条項や契約条項を全体的に検討すれば、「お互いのメリットはバランスよく配分されている」業務契約を締結する視点から契約書を俯瞰してみることも重要です。先述の通り、立場を利用したあまりに一方的な不平等業務契約や相手側との経験・知識の非常に大きな格差に乗じた契約は、無効になる可能性が高いので、常に相手側の主張も受け入れる姿勢で、こちら側の業務契約締結のメリットも十分反映させる交渉が必要です。

 
この点、業務契約書の作成知識と経験が豊富な行政書士等の専門家にアドバイスを受けながら、自社にとって最も有効な業務契約書の作成を模索することは、将来の事業にとって大きな効果をもたらすと言えます。

 

契約書のひな型利用について

業務契約書についても、多くの書籍やネット上で、契約書のひな型・サンプルが流通しています。ただ、このひな形をそのまま自社の契約締結の際に使用することは避けるべきです。何故なら、ひな型・サンプルは、あくまで、広く一般に用いられている契約書の最大公約数とも言えるもので、必ずしも、自社の事業内容や事業環境に即応する契約書とは言えない場合があるからです。契約書のひな型・サンプルは、業務契約書作成のためのたたき台として活用して下さい。

 
業務契約書の作成・締結は、当事者間の一大案件であり、今後の社業を左右することにもつながるので、行政書士等の専門家の法的知識と業務経験を十分活用して行ってください。

 

契約締結時には、リスク管理の観点を

例えば業務契約をある会社と締結すれば、その契約内容に従った報酬が得られますが、契約を締結することは、リスクを伴う事も忘れていなりません。例えば、相手が契約通りに業務を行わないことで、こちらに損失が生じる可能性もあります。契約不履行(債務不履行=履行遅滞、不完全履行、履行不能)による損害賠償請求方法等のリスク管理も重要な契約書記載事項と言えます。また、通常、契約書の最後には、訴訟を提起した場合の第1審管轄裁判所を記載していますが、これは、当事者間の民事訴訟法における訴訟契約です。例えば、北海道に根拠を置く者と九州に根拠を置く者とに争いがおこり、管轄裁判所が福岡地方裁判所であれば、北海道に根拠を置く事業者は、裁判のために多大な負担を課せられることになります。

 
以上のような契約による、不測のリスクを被らない為に、契約書を作成するにあたり、民法等の基本的な知識を抑えておくことは重要です。ただ、民法その他の法律の理解は、解釈・判例等の面ですぐに理解可能なほど簡単なものではないので、会社経営に深くかかわる行政書士等に契約書の作成チェックを行ってもらうとよいでしょう。また、実際に訴訟になれば、訴訟代理人資格は行政書士には与えられてないので(但し、行政の許認可業務に関する行政書士の代理権は認められています)、弁護士等(簡易裁判所までの訴訟額なら認定司法書士も可)の訴訟代理人資格を有する提携先をもつ行政書士依頼しておけば安心です。


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