資本金の出資は現金以外に資産を出資する現物出資が認められています。現物出資が行われると現金とは異なり、その評価額が明瞭ではないため、適切な評価額で現物出資が行われるように調査報告書のほか、いろいろなルールが定められています。現物出資と調査報告書の概要について説明します。
目次
現物出資時に必要な調査報告書とは
会社を設立するとき、資本金の出資は通常は、現金で行われます。しかし、現金以外の財産を替わり資本金として出資することも認められています。現物出資時に必要な調査報告書とは、資本金の出資が現物出資で行われたときに、作成しなければならない書類のことです。
その目的は、現物出資された資産の評価額、および出資方法が法律に違反していないことを業務執行社員が調査し、問題のないことを報告するために作成あされる書面です。
調査報告書のフォーマット(ひな形)
調査報告書の書類自体の作成は簡単です。法務省のホームページで調査報告書のフォーマット(ひな形)がアップされています。
株式会社の設立登記に必要な書類のひな型の中の1つとしてアップされています。少し、面倒ですが、スクロールを下にしていくことで、調査報告書のひな形を見つけることができます。株式会社であるため、そのまま文言を流用することはできませんが、その内容を理解することはできます。
調査報告書は、定款に記載された現物出資を行う出資者(社員)が現物出資した資産の評価額について正当な評価額であること、その資産が確かに提供(給付)されていること、および出資金全てが銀行に払い込まれていることを確認した結果を報告する内容として作成されます。
現物出資のメリット
出資をしたいけれど、現金が不足しているのに所有資産が多く、会社の運営に活用できる場合、その資産を現金化して出資すると、一般的にはその価値が大きく減少してしまいます。しかし、現物出資ができれば、会社としても資本金の額が大きくなり対外的な信用も上がるメリットが生じます。また、出資する側も現金化するより多額な出資とり、資産を最大限に活用できるメリットが生じます。
ただし、現物出資の総額が500万を超えると、裁判所の検査役による調査が行われるので費用、期間もかかりメリットが失われます。現物出資の総額は500万円以下にすることがお勧めです。
現物出資できる資産
貸借対照表に資産として計上できる譲渡可能なものでかなり広い範囲にわたって認められます。具体的には、不動産、車、パソコンなどの固定資産や、売上債権、有価証券などの金融資産、特許権などの知的財産権などとなります。
現物出資の定款への記載
現物出資をする場合、定款に記載が必要となります。
記載しなければならない内容は、以下の通りです。
- 現物出資をする者の氏名、または法人の場合名称
- 現物出資した資産の具体的な内容
- 評価額
財産引継書を作成
財産引継書とは、現物出資が行われたとき、その資産を会社が引き継いだことを証明するために作成される書面です。現物出資した1人に対してそれぞれ作成されます。
現物出資の注意点
現物出資を行うと、出資した個人、出資された会社に税金が課せられます。現物出資が、出資者から会社への譲渡となるため、不動産であれば、取得した会社に不動産取得税、登録免許税、固定資産税などが課税されます。