事業部制からの分社化や、有望事業の専門化、経営資源の集中、異種事業の分離など、子会社の設立目的は様々ですが、中には、異なった人事制度及び賃金体系を適用することによるリストラ目的や、管理職ポストを増やすことによる従業員のインセンティブ向上を狙うケースなども見られ、多様な子会社感があることがうかがえます。この記事では、子会社設立に係るメリットおよびデメリットを明らかにするとともに、設立までの手順を整理しました。子会社設立をご検討される際の参考となれば幸いです。
1 子会社とは
子会社設立によるメリット・デメリットを知る前に、まずは「子会社」の概念を把握することが必要です。法令上の制限や企業会計上のルールを含め、子会社と親会社の基本的な関係を知ることで、子会社設立効果の最大化につなげることができます。以下、子会社及び親会社に関する法令上の定義について解説します。
1-1 法令による子会社等の定義
「子会社」及び「関連会社」という用語について、法令で規定された内容を整理すると以下のとおりとなります。なお、本記事中で記載する主な法令等の条項に関しては次のとおりとしますのでご留意ください。
- ■会社法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「法〇条〇項〇号」
- ■会社法施行規則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「規則〇条〇項〇号」
- ■会社計算規則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「会計〇条〇項〇号」
- ■財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則・・・「財務諸表規則〇条〇項〇号」
(表1)用語の定義
用語 | 法令上の定義 |
---|---|
子会社 | 会社法では、「会社がその株主の議決権の過半数を有する株式会社その他当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。」と規定されています(法2条3号)。また、本規定における「当該会社がその経営を支配している」とは、「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」とされています(規則3条・4条)。これは、子会社か否かは「実質支配」を基準として判断されるということであり、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の規定とほぼ同様となっており、具体的には、以下の項目に該当する場合に、子会社として認識されます。
|
関係会社 | 関係会社というワードは、幅広く用いられていますが、「会社計算規則」、「財務諸表規則」においては、次のように定義されています
ここで言う「関連会社」とは、他の会社等及び当該会社等の子会社が、「出資」、「人事」、「資金」、「技術」、「取引」等の関係を通じて、子会社以外の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等を言い(財務諸表等規則8条5項)、子会社と同じく実質基準によって、その影響力が判断されます。
具体的には、以下の項目に該当する場合、関連会社として認識されます(財務諸表規則8条6項)。
以上が原則としての取扱いですが、1)~4)に該当する場合であっても、「財務上」または「営業上若しくは事業上の関係」からみて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないことが明らかであるときは、関連会社には該当しないものとされています。
なお、連結財務諸表を作成する際は、原則として全ての子会社を連結の範囲に含めるものの、関連会社は連結の範囲に含まれません。一方で、その「損益等」は、原則として「持分法の適用」により連結財務諸表に反映されることになります。 |
1-2 親会社の法的立場
親会社は、子会社を管理する立場にあるともいえるため、リスク管理上の観点から、その法律上の根拠や規制内容を理解しておく必要があります。その法的な立場は、次のように整理することができます。
(表2)親会社の立場
親会社の主な権限 | 影響力の内容 |
---|---|
株主総会における権限 |
厳然たる事実の一つは、親会社は子会社の株主であるということです。したがって、子会社への関与(経営参加)の代表的な手法は、株主総会における議決権の行使と言う形で行われることになります。その主な決議事項は以下の通りです。 《議決権を有する事項》
《議決権以外の権利》
|
子会社の取締役に対する監督権 |
親会社は子会社の取締役等の行為を監督・是正するために、監督是正権、資料収集権を有します。その主な権限は以下の通りです。
|
親会社監査役の子会社調査権 | 親会社の監査役は、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求めること、または、業務及び財産の状況を調査することができます(法381条3項)ただし、この調査権は、親会社の取締役の職執行を監査する一環として設けられた権限であり、子会社を直接監査することを前提としたものではありません。 |
会社法に基づく内部統制構築義務 | 内部統制システムの構築は、取締役会の専決事項として義務付けられています。会社法では、「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備(法362条4項6号)」を求めており、これを「内部統制システム」と称しています。 |
金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制評価 | 金融商品取引法上の上場会社は、所属する企業集団及び字屋の財務諸表その他の財務情報の適正性を確保するために必要な体制について評価した報告書(内部統制報告書)を、事業年度ごとにEDINET(有価証券報告書の電子開示システム)を通じて提出することが義務付けられています。なお、この内部統制報告書については、監査法人若しくは公認会計士の監査証明が必要です。 |
1-3 会計ルールによる子会社基準
子会社の設立にあたっては、財務諸表作成に係る会計ルールについても把握しておく必要があります。原則として、親会社は子会社や関連会社を連結先として連結財務諸表を作成しなければなりませんが、財務諸表作成の合理性に鑑み、連結先として重要性がないと判断される場合は、企業会計原則における「重要性の原則」にしたがって連結の対象から外すことが可能です。
連結先の判断基準となるのが、企業会計基準委員会が示している「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(企業会計基準適用指針第22号)」であり、その内容は以下のとおりとなっています。
(表3)会計ルールにおける親会社・子会社の定義
会社区分 | 定義 |
---|---|
親会社 | 他の企業の財務及び営業又は事業の方針を決定する「意思決定機関としての株主総会や取締役会など」を支配している企業をいい、これは、会社法施行規則で規定された「経営を支配している法人」に該当します。 |
子会社 | 親会社の定義で記載された「他の企業」を子会社として定義しています。なお、孫会社についても、会計上では親会社の子会社と位置付けられます。 |
(表4)会計ルールにおける子会社の判定基準
議決権の割合 | 経営の支配という事実関係の判断基準 |
---|---|
50%超 | 他の企業の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合は、実質支配と判断されます。 |
40%~50% | 他の企業の議決権の40%~50%を自己の計算において所有し、かつ、次の条件に該当している場合。 1)他の会社等の議決権の総数に対する自己所有等議決権数(次のア~ウの合計数)の割合が100分の50を超えていること。
|
0%~40%未満 | 他の企業の議決権の40%未満を自己の計算において所有し、かつ、緊密者(上記1)のイ)と合わせると他の企業の議決権の過半数を所有し、かつ、次の条件に該当する場合。 2)他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の総数に対する次に掲げる者の数の割合が100分の50を超えていること。
3)自己が他の会社等の重要な財務及び事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること。
4)他の会社等の資金調達額(貸借対照表の負債の部に記載されているものに限る。)の総額に対する自己が行う融資(債務保証及び担保提供を含む)の額の割合が100分の50を超えていること。 |
2 子会社の設立を検討する背景
近年、企業はグループ化を積極的に進めていますが、最も多く見られるのが、物流部門の子会社化です。企業本体が大きくなるにつれ、物流コストの見直しや責任の明確化が求められることが大きな要因の一つと言われます。ましてや、物流危機が喧伝される今日、サプライチェーンの要となる配送業務を確実に確保するためには、独自の配送網を構築することは喫緊の課題と言えます。
これは、小売業が配送部門の整備に着手する動きを加速するとともに、配送を受注する側である物流企業においても、自らの配送網をより効率的な手段で充実・拡大する動きとなって表れています。全国展開を推進する物流会社が、地方の中堅物流会社を子会社化し、その地域の拠点(事業機能)とマーケット(事業基盤)を一括して手に入れるという動きが見られます。
また、IOTの本格到来を控え、IT業界においても、事業の多角化による新たな分野への進出を目的に、専門分野の人材獲得や事業の仕組み作りのために子会社を設立若しくは取得する動きが加速しています。webサイト運営やインターネット広告の分野から、新たに、メディカル部門、人材派遣分野への進出や、注目される「エンゲージメント・マーケティング」の充実を目指すようなケースがあります。
このように、事業部門の効率化を目指すケースや、新規事業の展開、M&Aによって新たな市場と事業機能を手に入れるケース等々が見られますが、いずれにしても、子会社の設立を検討する背景には、企業本体の事業の継続性を担保するとともに、その先の「成長モデル」を描くための企業戦略があると言えます。
3 子会社を設立するメリット・デメリット
ここからは、子会社を設立するメリットとデメリットについて解説します。一般的には、次のように整理することができます。
(表5)子会社を設立するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
3-1 メリットの内容
各メリットの具体的な内容は次のように整理することができます。
3-1-1 節税が可能
まず法人税率について見ると、下記のとおりとなっています(株式会社と合同会社の場合)。
(表6-1)法人税率の違い
会社の規模
課税所得
|
資本金が1億円以下 (中小法人) |
資本金1億円超 (大法人) |
---|---|---|
所得が年800万円以下の部分 | 19.0% | 23.2% |
所得金額が年800万円超の部分 | 23.2% | |
※ここで言う「中小法人」と「大法人」は、法人税法上の区分です。 〇中小法人:普通法人のうち各事業年度終了時における資本金又は出資金の額が1億円以下であるもの、又は資本若しくは出資を有しないものを言います。 〇大法人:中小法人以外の法人。 |
法人税率は、資本金額1億円を境に税率が異なり、さらに資本金1億円以下の会社の場合では、所得額が800万を境として税率が分かれます。所得額が800万円以下の会社の場合、法人税額全体で見ると、資本金1億円超の会社よりも少なくなることがわかります。例をあげて計算してみると次のようになります。
(表6-2)法人税額の計算例その1
会社の規模
課税所得
|
(中小法人) 資本金額:9,000万円 所得金額:4,000万円 |
(大法人) 資本金額:1.5億円 所得金額:4,000万円 |
---|---|---|
(1) 所得金額が年800万円以下の部分 |
800万円×19.0% =152万円 |
4,000万円×23.2% =696万円 |
(2) 所得金額が年800万円超の部分 |
(4,000万円-800万円) ×23.2%=742万円 |
|
法人税額計(1)+(2) | 894万円 | 928万円 |
この例では、課税される所得金額が同じの場合、資本金の額が違うだけで中小法人のほうが税額で34万円安くなります。この中小法人が、例えば課税所得1,000万円規模の事業部門を資本金500万円で子会社を設立し、分社化した場合の親会社と子会社の税額は以下の通りとなります。
(表6-3)法人税の計算例その2
会社の規模
課税所得
|
(親会社) 資本金額:8,000万円 所得金額:3,000万円 |
(子会社) 資本金額:500万円 所得金額:1,000万円 |
---|---|---|
(1) 所得金額が年800万円以下の部分 |
800万円×19.0% =152万円 |
800万円×19.0% =152万円 |
(2) 所得金額が年800万円超の部分 |
(3,000万円-800万円) ×23.2%=510万円 |
(1,000万円-800万円) ×23.2%=46万円 |
法人税額計(1)+(2) | 662万円 | 198万円 |
課税所得の合計が同額なら、法人税額は親子会社計860万円となり、34万円の節税が可能です。地方税である法人住民税については、損益が赤字でも均等割分が課されるため、子会社の分が増加することに留意が必要ですが、利益さえ出すことができれば、節税効果はあります。
また、税率による節税効果のほか、課税所得を減少させることによる節税対策も考えられます。その内容としては、「交際費の損金算入枠」と「少額減価償却資産の損金算入の特例」枠の増加が代表格で、その内容は以下のとおりとなっています。
(表7)租税特別措置法による損金算入の特例
特例項目 | 特例の内容 |
---|---|
交際費の損金算入の特例 | 交際費は、法人の内部留保を高め財務体質強化を促進する観点から、原則として損金不算入とされていますが、租税特別措置法(時限立法)によって、法人の規模に応じて損金に算入できる特例が設けられています(現行制度は2020年3月31日が期限となっています)。この交際費の損金算入限度額については、法人の資本金等の額によって、次のように定められています。
なお、子会社が資本金1億円以下の中小法人の場合は、1)の限度内で交際費の損金算入が可能となります。ただし、資本金5億円以上の大会社の100%子会社は、たとえ資本金が1億円以下であっても大会社の扱いになりますので注意が必要です。
|
少額減価償却資産の損金算入の特例 | 企業が取得した減価償却資産は、取得年度の一括費用処理ができないのが原則ですが、一定の要件下で、取得年度での損金算入の特例が認められており、その内容は以下のようになっています。
子会社についても単独でこれらの制度を利用できるため、企業集団としての高い節税効果が見込まれます。なお、1)は恒常的制度ですが、2)は租税特別措置法による時限措置としての特例であり、現行制度は2020年3月31日までとなっています。
|
その他 | このほか、次のような手法をとることも可能です。
|
ここまで法人税の節税につながる事項について解説してきましたが、つい忘れがちなのが消費税です。消費税については、新設法人の場合、課税業者の判定基準となる前々期と前期の実績(基準期間)がないため、2年間は消費税の免税事業者になると考えがちですが、「資本金1,000万円以上の会社」や、資本金が1,000万円未満であっても、「特定新規設立法人」(注1)に該当する場合は、基準期間となる事業年度についても消費税の申告義務が生じるということに注意が必要です。
2014年4月1日以後に設立した新規設立法人(その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人)のうち、次の要件のいずれにも該当する法人を言います。
- ア.その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接または間接に保有されるなど、他の者によって当該新規設立法人が支配される一定の場合(これを特定要件と言います。)に該当すること。
- イ.上記アの特定要件に該当するか否かの判定の基礎となった他の者、及び、当該の他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間における課税売上高が5億円を超えていること。
(以上、国税庁タックスアンサー№6531を参考に作成)
3-1-2 経営管理面でのリスク分散
経営管理の上では、特定の事業を分社化して、その事業で想定されるリスクに専門的に対応させるなど、複数の事業で抱えるリスクを分散して対応できるというメリットがあります。異なる法令の規制を受ける事業を複数抱えている場合や、専門性の高い体制の整備が要求される許認可事業などの場合、子会社設立による対応が有効であると考えられます。
3-1-3 意思決定の効率化
事業分野ごとに子会社を設立すると、本体の会社よりも経営の意思決定のスピードが向上する効果もあります。会社の規模が拡大するにしたがって社内機構が大きくなると、意思決定に至るプロセスが硬直化して競争で後れをとるような場面もでてきます。一定規模の事業については、子会社を設立して意思決定プロセスを簡略化したほうが、従業員のモチベーションが高まり、競争力やサービスの質の向上につながります。
3-2 子会社設立によるデメリット
次に、デメリットについて整理します。デメリットとして考えられるものの中には、メリットと表裏を為すものもあれば、組織を分けることで浮かび上がってくる課題もあります。
3-2-1 設立コストと管理コストの発生
子会社とは言え、普通に会社を設立するのと同様の手続きや費用が必要となります。まず、定款の作成、株式会社の場合は公証人による定款の認証、登記手続きといった法定の手続きと、相応の費用が必要です。また、会社を設立する段階での手続きや支出に目が行きがちですが、むしろ、設立後の会社運営に係る管理や費用負担のほうが会社にかかる負荷としては大きいということに注目すべきです。設立費用の概算と、その他の管理コストとして想定されるものは次のように整理できます。
(表8)子会社設立費用の概算と想定される管理費用
1 子会社設立に要する費用概算
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款認証印紙代 | 0円 | 0円 |
公証人による定款認証費用 | 50,000円 | 0円 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
定款謄本手数料 | 2,000円 | 0円 |
設立費用計 | 202,000円 | 60,000円 |
《費用の注意事項》
- 1)登録免許税は、株式会社・合同会社ともに資本金の0.7%で算出した額となりますが、計算した額がそれぞれの最低額に満たないときは、登録免許税法で定められた最低額が適用されます。
- 2) 定款認証印紙代は、電子定款を利用すると不要です。紙の場合は、印紙税法で、株式会社・合同会社ともに4万円と規定されています。
- 3)株式会社の定款は、公証人による認証が必要です。
2 会計ルールへの対応では、連結子会社として「連結法」若しくは「持分法」という会計処理の方法によって連結財務諸表を作成しなければなりません。また、税法上も法人税の申告書の作成や、それに伴う税務調査への対応が必要となります。また、人事労務面でも、労働基準監督署の臨検など親会社と同様の管理体制が必要となるため、管理部門を充実する必要があります。
3-2-2 レピュテーション・リスク(風評リスク)
子会社を設立し企業集団として事業活動を行う中で注意すべきは、ガバナンスの欠如によるレピュテーション・リスクの増大です。最も多いのが、子会社が不祥事を起こして、その影響が親会社へ及ぶケースです。子会社の不祥事は、往々にして親会社が築き上げてきた信頼と実績を一瞬にして消失させる危険をはらんでいると言えます。そして、親会社の信頼が失われれば、その企業集団全体に対する信用の低下を招き、企業ブランドを棄損することにつながります。
また、不祥事未然防止とともに、昨今は職場における様々なハラスメント問題への対応が求められており、いわゆるコンプライアンスに対する取組姿勢の重要性も認識しなければなりません。これらの課題に対応するためには、親会社・子会社ともにリスク管理部門の整備が必要であり、高い水準で子会社に対する監視・監督するための「内部統制システム」の構築が求められるということを認識しなければなりません。そして、これらは管理コストの増大となって経営に影響を与えるということにも留意しなければならないのです。
このような、リスク管理を含めた内部統制システムの整備については、規則100条1項5号において、整備すべき体制の内容が以下のとおり明記されています。
《企業集団の内部統制システム上整備すべき事項》
- 1)子会社取締役、執行役、使用人から親会社への報告体制
- 2)子会社の損失危険管理体制
- 3)子会社の取締役等の職務執行の効率性確保
- 4)子会社の取締役等の法令・定款遵守体制
この中でも、1)の「子会社取締役等から親会社への報告体制の整備」は優先度の高い項目といわれています。事件や事故等の発生、また、その恐れを把握した時点で遅滞なく親会社に報告があがることで、不祥事を未然に防ぎ、または損害の拡大を防げる可能性が高まるためです。
この報告制度は、実質的に「内部通報制度」であることから、通報を受ける親会社の手続きの明確化や、通報者の保護措置の整備が必須であり、有効な仕組みを構築して関係者に対する周知を徹底するなど、実効性の高い体制整備が求められます。子会社設立にあたっては、このような新たなリスクを想定した体制整備と、それによる費用負担が生じるということを十分に認識しておく必要があります。
3-2-3 税制対応面でのリスク
税制面でのメリットは魅力的ですが、管理部門の体制を充実しておかないと、事務手続き上の間違いや、不適切な処理が税務調査において判明した場合、延滞税や加算税の発生、場合によっては「更正」又は「決定」の対象になるなどのリスクが高まります。
注意すべきは、所得金額や税額の計算で仮装や隠ぺいが行われ、税務調査で発覚するようなことがあれば、重加算税が課される事態となることです。重加算税は不正な申告納税に対する制裁措置(行政罰)であることから、犯罪の匂いが漂い、企業ブランドを棄損するのみならず、事後も一定期間は課税庁にモニタリングされることになります。
以上から見えてくるのは、子会社設立で得られるメリットは、場合によってはデメリットに変化する可能性をはらんでいることに十分な注意が必要です。特にリスク管理面での体制整備を怠ると、メリットを享受するどころか、その企業集団自体の存続を脅かすことにつながりますので、子会社設立にあたっては入念な準備が必要です。
4 子会社を設立する手順
子会社の設立にあたっては、親会社の100%出資の場合と、他に出資者を募り共同出資とするケースが考えられますが、手続きとしては、いずれも出資者を発起人として設立登記を行うという点において通常の会社設立の場合と異なるところはありません。
4-1 子会社設立に係るスケジュール等
まず、設立登記に必要となる書面等を確認し、その上で設立までの手順を整理します。
4-1-1 会社設立に必要な書面等と手順
(表9)会社設立時に必要なもの
|
その他添付書類
|
(表10)会社設立手順の概要
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
1) | 定款作成前に、「商号」を決めなければなりません。同一住所に同じ商号の会社がないか確認するなど、法令等の規制(後掲)に抵触しないよう入念なチェックが必要となります。 | |
2) | 定款記載事項を決定し、定款を作成(法26条1項)します。なお、電子定款を使用する場合の根拠は同条2項に規定されています。 | 定款記載事項を決定し、定款を作成する(法575条)します。なお、電子定款を使用する場合の根拠は同条2項に規定されています。 |
3) | 代表者の実印、銀行印等必要な印鑑類を準備しておきます。 | 代表者実印、銀行印等必要な印鑑類を準備しておきます。 |
4) | 公証人による定款の認証を受けます(法30条1項)。 | 合同会社の場合は、公証人による定款の認証は不要です。 |
5) | 設立時発行株式の決定と出資金払込(法32条及び34条2項)。 | 出資の履行(定款の作成後、設立登記までに全額を払い込む)(法578条) |
6) | 出資履行後速やかに設立時取締役選任(法第38条) | 法人が業務を執行する社員である場合、当該法人は、「職執を行う者を選任」しなければならない(法598条) |
7) | 設立時取締役が、設立手続が定款に適合しているか否かを調査(法第46条) | 合同会社の場合は、このような規定はありません。 |
8) | 設立登記申請 | 設立登記申請 |
9) | 設立登記を完了すれば会社が成立します(法49条)。 | 設立登記を完了すれば会社が成立します(法579条)。 |
4-1-2 商号決定に係るルール
商号については、会社法の規定のほか、商業登記法及び不正競争防止法等によって規制されており、その内容は以下のとおりとなります。
(表11)会社法による規制
規制事項 | 説明 | 会社法条項 |
---|---|---|
所定の文字を用いること | 会社は種類に従って、その商号中に、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いる必要があります。 | 6条2項 |
故意に、他の会社と誤認される商号の使用禁止 | 何人も不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれがある名称又は商号を用いることはできません。なお、「不正の目的」とは、故意に他の会社の商号等に類似した商号等を使用して公衆を欺くといった反社会的な行為を指します。 | 8条1項 |
商号単一の原則 | 会社は1つの商号しか許されず、営業の種類ごとで異なる商号を用いることは不可となります。これは、会社法に明文規定はありませんが、「判例法」としての整理によります。 | 判例 |
(表12)その他法令等による規制
規制の内容 | 根拠法令・通達等 |
---|---|
他人の商号として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商号等表示を使用して他人の営業と混同させる行為、及び、その商号を使用することは禁止されます。 | 不正競争防止法2条1項 |
その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、本店の所在場所が、当該他人の商号の登記所在場所と同一であるときは、登記することができません。 | 商業登記法27条 |
登記すべき事項に無効または取消の原因がある時(暴力や違法行為を連想させるような公序良俗に反する商号)は認められません。 | 商業登記法24条10号 |
会社の本店の商号に支店であることを示すような文字(支社、支部、出張所等)を用いることはできません。 | 法務省民事局長回答(大正10年10月) |
会社の商号中に、会社の一営業部門であることを示すような文字を用いることは禁止です。 | 登記研究404号(信頼性の高い法務雑誌) |
会社の種類と同様に、業種によって使用しなければならない文字があり、これらの業種と関係のない者が使用することを禁じられている文字があります。(例)「銀行」「信託」「生命保険」「信用金庫」等 | 各業種の業法 |
【商号に用いることができる文字】 商業登記規則で商号に使用できる文字が以下の通り決められています。 1)漢字、2)ひらがな、3)カタカナ、4)ローマ字(大文字及び小文字)、5)アラビア数字、6)符号(「&(アンパサンド)」、「‘(アポストロフィー)」、「,(コンマ)」、「-(ハイフン)」、「.(ピリオド)」、「・(中点)」) なお、6)の符号は、字句を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることが許され、商号の先頭または末尾に用いることはできません。ただし、「.(ピリオド)」については、その直前にローマ字を用いた場合に省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。また、5)のアラビア数字は、数字を横書きする時に用いることができます。 |
商業登記規則48条、50条2項 |
4-2 定款作成の要点
会社設立手続きの中で最も重要なのが定款の作成です。定款の記載事項には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、記載しなければその効力を生じない「相対的記載事項」、また、任意に記載することができる「任意的記載事項」があり、株式会社と合同会社の記載事項は下表の通りとなります。
なお、合同会社については、起業促進の起爆剤としての役割が期待されているため、設立手順とともに会社経営の柔軟性を確保するための仕掛けが随所に設けられています。その一つが定款の「相対的記載事項」であり、会社法で規定されている事項であっても、定款で異なる定めをすることができる項目が30項目を超え、高い定款自治が確保されています。下表では、その一部の記載に留めていることにご留意ください。
(表13)定款記載事項
株式会社 | 合同会社 |
---|---|
(絶対的記載事項)
|
(絶対的記載事項)
|
(相対的記載事項)
|
(相対的記載事項)
-このほか、20数項目あります-
|
(任意的記載事項)
|
(任意的記載事項)
|
5 特例子会社とはどんな会社?設立するメリット・デメリット
「特例子会社制度」は、障害者雇用の促進と安定を図るための施策として、1987年の障害者雇用促進法の改正によって法制化されました。障害者雇用をめぐっては、2018年に中央省庁の水増し問題が発覚し、旗を振る国や地方自治体が法定雇用率を満たしていない事実が表面化したことで、障害者雇用促進に冷や水をかけた形となりました。一方で、民間企業の障害者雇用は拡大しており、労働人口減少時代を迎えた日本においては、障害者雇用を、むしろ戦略的に活用する動きさえ生まれつつあります。今回、民間企業が障害者雇用を促進するための有力な手段とされる「特例子会社」について、設立のメリット・デメリットを整理します。
特例子会社制度は、1976年に当時の労働省の局長通達によって導入されたのが最初ですが、その後1987年の「障害者の雇用の促進等に関する法律(通称:障害者雇用促進法)」の改正を機に法制化されました。以下、その制度の内容と障害者雇用の実態について解説します。
5-1 障害者の法定雇用率
「障害者雇用率制度」においては、対象の事業主に対して法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務が課せられています。この法定雇用率は、次のように2018年4月1日より引き上げられ、同時に、対象となる事業主の範囲も拡大されています。
(表1)法定雇用率と対象事業主の拡大
事業主区分 | 法定雇用率の変化 | |
---|---|---|
2018年3月31日まで | 2018年4月1日~ | |
民間企業 | 2.0% | 2.2% |
国・地方公共団体 | 2.3% | 2.5% |
都道府県等の教育委員会 | 2.2% | 2.4% |
〔対象となる事業主の拡大〕 法定雇用率の引き上げとあわせ、障害者雇用が義務付けられる事業主の範囲が拡大されています。従来は、従業員50人以上とされていたところ、2018年4月1日より、45.5人以上に変わっています。この事業主には、次の義務が課せられています。
〔更なる引き上げ〕
2018年4月から3年を経過する日より前(2021年4月まで)に、法定雇用率は更に0.1%引き上げられ、民間企業の法定雇用率は2.3%(国等の機関も同様に0.1%引き上げ)になります。また、法定雇用率が2.3%になると同時に、対象となる事業主の範囲も、従業員数43.5人以上に拡大されることになります。 |
5-2 特例子会社の概要
さて、特例子会社ですが、この障害者の法定雇用率と密接な関りがあります。特例子会社制度は、障害者の雇用の促進と安定を図ることにその目的があり、「事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社」であって、「厚生労働大臣から認定を受けた会社」が特例子会社となります。
特例子会社を設立すると、その会社で雇用する全従業員は事業主(親会社)の雇用であるとみなされ、雇用率を算定する際には、親会社と同一の事業所として扱われることになります。また、特例子会社を持つ親会社は、関係する別の子会社も含め障害者雇用を進める場合には、厚生労働大臣から「グループ認定」を受けたこれら子会社と特例子会社の全従業員が事業主(親会社)の雇用とみなされ、障害者雇用率を算定する際に、親会社と同一の事業所として扱われることになります。
具体的な特例子会社と障害者雇用率の関係については、次のようになります。
(表2)特例子会社と障害者雇用率の算定(例)
(民間企業:親会社従業員700人の会社の法定雇用率達成に必要な障害者数)
従業員700人×法定雇用率2.2%=15人
この例では、15人の障害者雇用が必要ですが、一般的な業務を担当させるために15人を雇用するのは困難です。このため、担当する業務を選定・集約して従業員数30人(うち障害者20人)の特例子会社を設立した場合、特例子会社の雇用が親会社と通算して算定されるため、次の通りとなります。
従業員総数730人×法定雇用率2.2%=16人・・・親子会社合計で16人の障害者雇用が必要。
特定子会社で20人の障害者を雇用しているため、20人÷730人=2.7%となり、法定雇用率をクリアできます。
これを、関係会社特例(グループ認定)で見ると、次の通りとなります。
〔設定〕
- ・親会社従業員数:700人
- ・特例子会社従業員数30人(うち障害者雇用20人)
- ・他の子会社従業員100人
必要障害者雇用人数は、従業員総数830人×法定雇用率2.2%=18人となりますが、特例子会社で障害者20人を雇用しているため、20人÷830人=2.4%となり、法定基準をクリアできます。
5-3 特例子会社の認定要件
特例子会社を設立するには、親会社、子会社ともにいくつかの要件を満たさなければなりません。要件は次の通りです。
(表3)認定要件
特例子会社認定要件 |
---|
|
6 特例子会社設立のメリット・デメリット
ここからは、特例子会社を設立した場合の、障害者の法定雇用率の計算上の利点以外のメリットと、特例子会社を設立することによって生じるデメリットついて整理します。
6-1 特例子会社設立のメリット
特例子会社を設立することで、障害のある人を一つの会社に集中雇用することができ、法定雇用率の達成に有利になりますが、この他に次のようなメリットが想定されます。
(表4)特例子会社設立メリット
項目 | 例示 | 主な内容 |
---|---|---|
業務と職場環境 | 1)特定業務とコストの集中 |
|
柔軟な雇用体制の整備 | 1)柔軟な雇用体制の採用 2)リテンション向上と生産性の向上 |
|
対外的なメッセージ効果 | 1)障害者の積極雇用による会社イメージの向上 2)障害者雇用ノウハウの蓄積による人材力向上 |
|
子会社特性 | ・情報流出リスクの低減 ・各種助成金制度の活用 |
・社外にアウトソーシングし難い「企業の内部情報」や「個人の機微情報」をともなう業務を担当させることができます。 |
6-2 特例子会社設立のデメリット
特例会社を設立することによるメリットに対して、デメリットというよりも、障害者雇用そのものに対する不安や、子会社化による経営面でのリスクを把握しきれないことに対する不安があるのではないでしょうか。これらを障害者雇用と特例子会社設立に係る課題として捉えると、次のように整理することができます。
(表5)障害者雇用と特例子会社設立運営上の課題
課題 | 実態と対応策 |
---|---|
障害者を雇用しても担当させるだけの十分な量の業務がない | このような考えを持つ要因は、障害のある人に対する知識不足や障害者が自社で働くことのイメージがつかめないことことにあると言われています。実際に運営されている特例子会社や「就労継続支援A型事業所(注1)」などで、障害のある方が働く姿を見たり、そこでの業務を参考にすると、これまで見落としていた仕事の存在や、障害のある人に任せられる仕事があることに気付く可能性が高まります。 |
特例子会社を設立しても利益を上げ、経営を継続できるか不安 | 例えば、親会社から特例子会社に移行する業務を、「清掃業務」に限ってしまうなど、単一業務を担当させる傾向があると言われています。個々の能力によっては、単一業務に限らず、複数の業務を任せられる場合もあります。個別に適性を把握し、可能性の検討から始めることが肝要です。また、仮に単一業務を担当させるとしても、事業の継続性を考えれば、親会社だけではなく、外部からも受注できるような仕組みが必要となります。 |
会社設立の費用や、設立後の管理・運営にかかるコストの不安 | 一般的な会社設立費用や運営コストは当然必要となりますが、障害者の就業環境に係る施設整備などの費用も必要となります。障害者雇用に当たっては、ハローワーク、独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構、自治体などが管轄する各種助成制度があります。この助成制度を活用することで、職場環境や就労条件の整備がしやすくなります。 |
障害者雇用に係るノウハウがなく、専任の指導員の配置にも不安 | 障害のある人を初めて雇用するときに問題となるのが、受入側の知識不足です。特例子会社を設立するとしても、親会社から従業員を派遣することになりますので、障害のある方に対する接し方や、業務の指導方法等が大きな課題となります。対応策としては、専門的な知識をもったジョブコーチを派遣する「ジョブコーチ制度」の活用や、担当させる社員をジョブコーチ研修に参加させるなどの方法が考えられます。また、公的・民間を問わず、障害者雇用に係るセミナーや研修会が開催されていますので、これらに参加することも有効です。 |
障害や難病のある方が、雇用契約を結んだ上で一定の支援がある職場で働くことができる、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。利用者は「A型事業所」との間で契約を締結するため、最低基本賃金以上の給料がもらえます。
7 特例子会社の経営実態と展望
特例子会社の経営については、赤字であるとの声を多く聞きます。特例子会社はその要件が「株式会社」であることを考えれば、当然のごとく利益を追求しなければなりません。ただ、障害者雇用と言う一般の会社との相違は、その会社における生産性の問題など経営上の課題が多いことも事実です。果たして、特例子会社の運営をどのようにしたら良いのでしょうか。
7-1 中長期的な視点にたつことの重要性
当然のことながら、親会社の支援は必要不可欠です。特例子会社の経営が立ちいかず、廃業となれば、障害者雇用の場が失われることはもとより、特例子会社設立とともに社会的なメッセージを発した親会社にとっても有形無形の損失が生じることになります。
このため、親会社の支援とともに、各種の支援機関や経営コンサルタントなどを活用し、人材育成と適材適所の人員配置、また、担当業務の生産性向上へ向けた工夫など、中長期的な視野に立った取り組みが必要となります。
また、親会社等が、特例子会社に業務の一部をアウトソーシングすることによる親会社の生産性向上や、企業としての社会的責任を果たしていることについての客観的評価方法を確立することも重要なポイントとなります。
7-2 障害のある人を戦力化すること
特例子会社にとっての重要な経営基盤となるのが、親会社からの業務の受注です。特例子会社設立時のこの業務の選定が重要となるため、十分な検討と入念な準備が必要です。特例子会社の設立が社会的責任を果たしているという形式的なポーズではなく、本気の取り組みが求められるということです。
そして、もう一つ重要なポイントとなるのが、障害を持つ人の戦力化です。戦力化のためには、担当業務を円滑かつ迅速に処理するための創意工夫と、社員教育が鍵を握ります。いつの世も、どのような組織においても、人材育成は永遠の課題と言えます。教育研修プログラムを策定し、キャリア形成の道筋を示すことで、障害を持つ人自身が意欲を以て業務に取り組むことができるよう、就業環境を整備しなければなりません。
労働力不足が顕著となって久しい日本において、障害を持つ人の戦力化をダイバーシティと捉えれば、特例子会社は、まだまだクリアすべき課題が多いとはいえ、企業グループの成長戦略の有力な手段となり得るでしょう。
8 まとめ
子会社の設立に至る背景から、そのメリットとデメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。自社の現状に置き換えてみるとより具体的にイメージすることができます。企業によって子会社の設立目的は様々であり、得られるメリットも業容や業態によって若干異なる点もあろうかと思います。しかし、メリットとされる事項には必ず会社を脅かすリスク(デメリット)がつきものです。特にコンプライアンス経営が叫ばれる今日、内部統制システムとリスク管理体制の構築が重要なカギを握ることになります。この記事をご参考いただき、会社の成長の礎となる子会社設立につなげていただければ幸いです。